ポスチュロロジーは、神経科学の分野に属する。この理論は、1980年代に主にフランスで発祥した学問である。同時期に、この学問分野を研究していたポルトガル人と日本人の先駆者がいた。しかしながら、ポスチュロロジーが国際的に知られるようになったのは、2000年以降であった。

 

 

定義

ポスチュールポジションと混同してはいけない)は、空間における異なる体の部分の配置の積極的な制御が精巧に組み立てられた状態であり、外界から刺激を受けてそれに反応する生体の作動する経路と表現される。

 

ポスチュールは、特に起立位、さらに座位(実際にはどの瞬間においても重力による影響を受けている)において、最も少ないエネルギーで各体部位の安定性を保つための、複雑な神経筋活動の結果である。

  • 中枢神経系
  • 姿勢筋
  • 異なる姿勢感知器官:目、足底、内耳、腱、内臓

これらの感覚器官を通して入ってきた全情報が瞬時に中枢神経系に伝わり姿勢として体に現れる。

 

ポスチュラルシンドロームは、この情報の統合の異常の結果引き起こされる。

 

主に3つの徴候が現れる

痛みとゆがみ (95%)

不安定 (15%)

疲れ、気分不安定、認知障害 (40%)

これらの徴候は、単一の症状としてもと複数の合併した症状でも認められる

 

 

ポスチュラルシンドロームの治療

 

ポスチュラルシステムは複雑であるため、ポスチュロロジストは、姿勢反射に関わる多くの体器官についての広範な知識を習得しておく必要がある。

現実には、ポスチュロロジーのみの専門家は存在せず、ポスチュロロジーを習得した医学系の専門家、医師、理学療法師、歯科医、歯科矯正医、フットケアドクター、眼科医、検眼師、言語療法士、耳鼻咽喉科の医師等をポスチュロロジストと呼ぶ。それらの専門家は直接的にも間接的にもポスチュロロジーに関連した器官を扱い診療している。

レントゲンやMRIなどの標準的な検査に加え、姿勢反射システムの特異的検査や精巧な分析を要し、さらに原因となる臓器器官あるいは感覚系、視力検査、内耳の検査、咬合のなどの検査も要する場合がある。

治療は、個々の症例によりさまざまである。

1)-特別な徒手治療(奇形矯正)

2)-耳介部の治療および特別な鍼灸

3)-固有反射矯正用のインソール

4)-歯科治療・咬合治療

5)-舌あるいは口のリハビリ

6)-前庭のリハビリ

主なもの

 

ポスチュロロジー専門家の治療が適合する対象は?

  • 慢性・再発性の筋肉の痛み、またさまざまな治療を受けたにも関わらず症状の改善が認められない痛みなど
  • 以下にあげる徴候がいくつか認められる症例:不安定感、頭痛、倦怠感、標準的な検査で異常が認められない原因不明の不調。
  • 顕著な姿勢の異常(脊椎後弯症、脊椎側弯症)
  • 小児の失読症

 

コメント:線維筋痛、変形性骨関節症による慢性痛、さらには心理的、精神的な原因によると慢性痛と診断された症例の多くが、実は“ポスチュラルシンドローム”(姿勢症候群)であったケースが多く認められる。